トレード手法関連

FXトレードをするときに、テクニカル分析やファンダメンタル分析をするトレーダーは多いと思います。
例えば、ボリンジャーバンドやRSIなどのインディケータが一定の数値になったらエントリーするというトレードルールがあります。以前は、私もテクニカルインディケータのシグナルだけでトレードしていたのですが、だましも多く、結果的に大きな利益が出ることはありませんでした。
今から思えば、トレードの環境認識ができていなかったことが、利益が出ない原因だったと思います。
相場の環境認識と言っても、イメージが漠然としていますね。一般的に、トレードの環境認識は、「上位足の流れを確認すること」つまり、マルチタイムフレーム分析を意味します。もちろん、マルチタイムフレーム分析も大切ですが、より大きな視点でFX相場を分析できると、エントリーポイントや決済ポイントを的確に見分けることができると思います。
結論から言うと、環境認識のポイントは「上位足の流れ」と「世界の投資家が注目しているCFD銘柄の動き」を分析することです。株式市場や先物銘柄の動きも通貨ペアの動きに影響を与えるからです。
各CFD銘柄の動きを見ると、相場全体の大きな流れをつかむことが可能になります。GOLDや株価、債券など他のCFD銘柄の動きも確認しつつ、トレードしようとしている通貨ペアの相場を確認することが大切です。
私は、相場の環境認識をするのに海外FX業者が最適だと思います。通貨ペア以外にも株価やVIX指数、債券の動きまで同じMetaTrader4(MT4)/MetaTrader5(MT5)の画面で確認できるからです。もちろん、FX相場と同じようにテクニカル分析ができます。
今回の記事は、トレードするときに考えたい、相場の環境認識の具体的な手順やコツについて紹介します。
知りたい情報 TOP3(ここを読めば解る)
相場の環境認識が大切な理由
FXトレードで相場の環境認識をすることはとても大切です。環境認識をするために覚えておきたいポイントについて、解説していきます。
上位足の影響力は強い
トレードスタイルによってメイン時間軸は異なります。私は、スキャルピングであれば1分足、デイトレードであれば1時間足、スイングトレードであれば4時間足をメイン時間軸にしています。
トレンド相場を狙うトレンドフォロー手法が中心なのですが、メイン時間軸のみだと「信頼できるトレンド」なのか判断ができません。強いトレンドもあれば、すぐに終わってしまうトレンドも存在するからです。
そこで、「上位足チャート」、特に「日足チャート」を確認します。日足チャートは相場の基本ですので、他の時間足よりも信頼性が高いと思います。
USD/JPYの日足チャートと1時間足チャートを表示させてみました。
日足が下落基調になっていますね。同じ期間で1時間足チャートを見てみましょう。1時間足を見てみると、下落基調の中にも上昇基調になっている期間があります。ただ、全体を見ると、下落圧力の方が強いと理解できます。もし、買いポジションをずっと保有していたら、塩漬けポジションが増えてしまいかねません。
上位足の相場の流れを理解していれば、いつまでも買いポジションを保有し続けることは危険だということが事前に分かります。日足チャートと同じ下落トレンドになるのを待ってエントリーすると、勝率が高くなりそうです。
メイン時間軸だけでなく、他の時間軸の動きを考慮して相場の環境認識をすることを「マルチタイムフレーム分析」と言います。
マルチタイムフレーム分析については、2章で詳しく解説しています。
日足チャートのサポート/レジスタンスライン、チャネル、プライスアクションなど日足チャートの重要性は相場分析の中でも非常に高いといえます。
先物相場の世界では、「月足に味あり、年足に財あり」という言葉もありますが、個人投資家の場合は日足を基準にするのがおすすめです。また、1時間足や1分足などのデイトレードというトレードスタイルが定着したのは、比較的最近です。基本的に、機関投資家や大きな資金を運用するトレーダーは日足チャートを基にしたトレードをします。
そのため、日足チャートはダマシが他の時間軸よりも少なく、ローソク足が反応する確率が高いといえます。
通貨ペアとCFD銘柄は連携している
「ダウ平均株価の上昇に伴って、ドル円も上昇した」というニュースを聞いたことがある方も多いと思います。世界経済の中心と言われるアメリカの株価は、ほとんどの通貨ペアの動きに影響を与えます。
この他にも、原油市場とカナダドル(CAD)、先物銘柄とオセアニア通貨(AUD)、S&P500とVIX指数など、あらゆる通貨ペアとCFD銘柄の動きは連携しています。
トレードしようとしているチャートだけの分析だと、「木を見て森を見ず」のような状態になってしまいます。1つの通貨ペアのチャートだけでなく、CFD銘柄を含めた大きな相場の流れを理解することが環境認識につながります。
環境認識を実践する3つのステップ
私が実践している相場の環境認識をする具体的な3つのステップについて紹介します。
- 通貨強弱を確認する
- リスクオンとリスクオフ相場を見極める
- マルチタイムフレーム分析
通貨強弱を確認する
環境認識をする最初のステップは、通貨強弱、特に「ドルインデックスの動き」を意識することです。
複数の主要通貨に対する、米ドルの為替レートを指数化したもの。ドルの価値が上昇すると、ドルインデックスも上昇する。
Titan FX(タイタン FX)やExclusive Markets(エクスクルーシブ・マーケット)、HotForex(ホットフォレックス)など複数の海外FX業者で、ドルインデックスチャートを表示できます。Titan FXのドルインデックス(USDX)日足チャートとドルストレート通貨ペアのチャートを表示してみました。
ドルインデックスの動きを見ると、ドルの価値が上昇しているのか、下落しているのかがビジュアルで理解できます。
実は、ドルストレート通貨の大きなトレンドは、「ドルインデックス」を分析すれば事前に予想できるのです。
FX通貨ペアは、「通貨と通貨の価値変動」を示していましたね。ドル円を例に考えてみましょう。
ドル円の価格変動
チャート | 通貨の価値 |
---|---|
右上がり | USDの価値が上昇し、JPYの価値が相対的に下落する。 ⇒ドル高円安 |
右下がり | USDの価値が下落し、JPYの価値が相対的に上昇する。 ⇒円高ドル安 |
もちろん、USDを中心に動くこともあればJPYを中心に変動することもありますが、世界の基軸通貨であるUSDの動きは大きな影響を与えます。
少し視点を広げて、ドルストレート通貨(上記画像)について考えてみます。ドルインデックスの日足チャートを見ると下落基調になっているので、「ドルの価値が全体的に下がっている状況」と判断できます。
USDの価値が全体的に下落してきているので、もう一方の通貨の価値が相対的に上昇しますね。EUR/USD(ユーロドル)、GBP/USD(ポンドドル)、AUD/USD(豪ドル米ドル)のどれも全体的に上昇基調になっています。
例えば、ドルインデックスの下落が続くと判断すれば、各通貨ペアがレンジ相場になっていたとしても、買い目線でエントリーポイントを探そうと意識できるのです。
ドルインデックスがトレードできる海外FX業者と、銘柄名をまとめました。
ドルインデックス対応海外FX業者
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USDX |
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DXY.f |
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USDIndex |
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USDX |
ドルインデックスは、ユーロドルなど一部の通貨ペアの比重を高くして算出している場合もあり、また連動する指数が先物のものと現物のものがありますので、同じドルインデックスでも、値動きは業者によって異なります。
ドルインデックスを確認して、余裕があれば、より詳しい通貨強弱を確認して現在の相場に最適な通貨ペアを選ぶこともできます。通貨強弱の詳しい分析方法については、以下の記事をご覧ください。
リスクオンとリスクオフ相場を見極める
「相場がリスクオフになっている」というニュースの見出しを見たことがある人は多いでしょう。
ファンダメンタルズを理解する上で、現在の相場がリスクオン・リスクオフのどちらになっているかを判断することが大切です。
リスクオン相場とは、投資家がリスクを取って、リターン(収益)を追求しやすい相場状況のこと。一方、リスクオフ相場とは、投資家がリスクを回避するようになり、より安全な資産に資金が向かいやすい相場状況を指します。
私が判断する指標の1つに使っているのが「VIX指数とGOLDの動き」です。とりわけ、VIX指数の動きに注目しています。VIX指数は、「恐怖指数」という名称でも知られていますね。リスクが高まるとVIX指数が上昇し、リスクが低くなるとVIX指数の変動がほとんどなくなります。
また、GOLDもファンダメンタルズの影響を受けやすい銘柄です。安全資産とみなされているため、リスクオフになると買われる傾向があります。ただし、投機的な動きもあるため、トレードはやや複雑になります。
リスクオン・リスクオフと銘柄の関係
相場状況 | VIX指数 | GOLD |
---|---|---|
リスクオン相場 | ほとんど変動なし | 下落基調 |
リスクオフ相場 | 急上昇する | 上昇基調 |
例えば、2020年3月のコロナショックについて考えてみます。世界中の都市でロックダウンが行われ、経済活動は停止しました。リスクオフ相場になると考えられますね。
VIX指数の動きを確認してみます。
コロナ(Covid19)が流行し始めると、VIX指数が急騰しました。リスクオフ相場になったことがビジュアルで理解できます。
その後、ワクチン開発報道や有効性についての報道があると、VIX指数も反応していますね。
海外FX業者は取引可能な銘柄が多く、Titan FX(タイタン FX)やHotForex(ホットフォレックス)がVIX指数チャートを提供しています。もちろん、実際にトレードすることも可能です。
VIX指数について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
VIX指数対応海外FX業者
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VIX |
![]() |
VIX.F |
マルチタイムフレーム分析
前章でも登場したマルチタイムフレーム分析について、解説します。マルチタイムフレーム分析とは、「メイン時間軸の他に上位足のトレンドを分析する」ことです。
マルチタイムフレーム分析をするときに、初心者の方でも使える便利なインディケータを紹介したいと思います。「FX Trend」というインディケータです。
メタクオーツ社が運営する交流サイト、MQL5コミュニティで入手可能です。ダウンロード方法は以下の記事をご覧ください。
記事執筆時点では無料版が提供されていましたが、現在は有料版($75)のみの提供となっています。
MQL5コミュニティからインディケータをダウンロードする方法
FX TrendをEUR/USDチャートに表示させてみました。
このインディケータを使えば、1分足から月足までの各時間足でのトレンドの方向やその信頼性が分かります。
私は、1時間足~日足のトレンドが同じ方向になったとき、さらに星マークが5つ星の通貨ペアに絞ってトレードをしています。
ここまで、相場の環境認識、特にファンダメンタル的な部分について解説してきました。次の章では、テクニカルを利用して相場の環境認識をするコツを説明します。
相場の環境認識を把握するコツは?【実践編】
移動平均線を意識する
テクニカル的に相場の環境認識をする場合、チャートに必ず表示するのは移動平均線です。単純移動平均線(SMA)や指数平滑移動平均線(EMA)など種類がありますが、SMAで問題ないと思います。
移動平均線で気になるのは、「期間設定をどうすればいいのか」という点ですね。
例として、以下の期間設定を紹介します。
移動平均線の期間設定
時間軸 | 移動平均線の期間 | 理由 |
---|---|---|
15分足 | 96 SMA | 24時間 (1日) |
1時間足 | 480 SMA | 20日 (約1ヶ月) |
日足 | 200 SMA | 1年を想定 |
週足 | 52 SMA | 1年を想定 |
相場の環境認識は、細かい視点ではなく、大きな流れを意識することが大切です。私は、1時間足をメイン時間軸にしているので、480 SMAをチャートに表示しています。これは、FXの20日営業日、つまり1ヶ月分の移動平均線にあたります。
各時間軸からみて、「大きな相場の流れ」と言えるような基準にしています。USD/JPYの1時間足チャートですが、よく反応していると思います。480SMAを上回っているか下回っているかで、相場がどちらの方向へ勢いづいているのかを分析できます。
主要インジケータを使う
テクニカルインディケータは様々な種類があるので、トレードスタイルに合わせてお気に入りのインディケータを見つけてください。その中に、いわゆる「主要インディケータ」を含めてみることをおすすめします。主要インディケータは、世界中のトレーダーが指標としているため、反応しやすいです。
環境認識に役立つインジケータ
インディケータ名 | シグナル | 分かること |
---|---|---|
ボリンジャーバンド | バンドウォーク | 相場のボラティリティ |
RSI | RSIの数値50を超えているか・ 下回っているか |
上昇圧力か下落圧力か |
Pivot Point | 当日のPivotと価格の関係 | デイトレードで活用 |
一目均衡表 | 雲 | トレンドかもみ合いになりやすい相場環境か |
他にもたくさんありますが、インディケータで迷っているトレーダーは、ぜひ上記のインディケータを表示してテクニカル分析をしてみましょう。
相場の環境認識をするため、エントリーポイントとは別の視点で分析してみることがおすすめです。
主要インディケータのうち、4つをUSD/JPYの1時間足チャートに表示させてみました。
主要インディケータの意味
インディケータ名 | シグナル | 意味 |
---|---|---|
ボリンジャーバンド | バンドウォーク終了 | 上昇が落ち着くか |
一目均衡表 | 雲に反発 | もみ合い相場になりかけている |
480移動平均線 | 上昇 | 上昇目線 |
RSI | 基準値50を超えている | 上昇圧力の方が強い |
テクニカル的にみると、上昇は一旦落ち着くのかなということが読み取れます。ただ、「売りエントリーに切り替えるには根拠が足りないので、買いエントリーできるポイントを探そう」と意識できます。
ボリンジャーバンドの「バンドウォーク」、RSIの数値50の意味を知ると、相場を違った視点で分析できます。RSIやボリンジャーバンドについて気になる方は、以下の記事もご覧ください。
(まとめ)相場の環境認識でエントリーを絞ろう
ここまで、FX相場の環境認識について解説してきました。
トレードしようとしている通貨ペアのチャートだけでなく、相関関係の高い通貨ペアや上位足、CFD銘柄、ファンダメンタルズを総合的に分析すると、大きな相場の流れを理解できます。
条件が厳しすぎてもいけませんが、環境認識をした上でトレードをすると、だましにあう確率も減少できますし、たとえ含み損が出ていたとしても、メンタル的に冷静さを保つことができます。
トレードを始める前に、相場の環境認識をしていれば、無駄なエントリーを減らし、より優位性の高い通貨ペアに絞ってエントリーができると思います。
海外FX業者は、FX通貨ペア以外にもCFD銘柄を提供しており、特にExclusive Markets(エクスクルーシブ・マーケット)やTitan FX(タイタン FX)は取扱いCFD銘柄が豊富です。この他にも、様々なテーマのコラム記事やサービス比較などの記事を掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
編集部の
コメント
ドルインデックスの動きは先行指標となる場合が多いため、トレードする前にチェックしてみましょう。大きな流れを意識すればいいので、日足チャートがおすすめです。取扱いのかる海外FX業者であれば、ドルインデックス自体もトレードすることが可能です。