当社(FXplus)は、2021年10月1日〜2021年10月29日の期間を対象とした、「重要イベント」と「主要銘柄のボラティリティ」にみる市場動向をまとめたデータを公開した。
2021年10月はゴールドや日経平均株価だけでなく為替通貨においてもボラティリティ増加がみられた。
10月も続く日経平均株価のハイボラティリティ
ボラティリティ推移(対象月:2021年10月)
今回の調査結果では、9月と同様に日経平均株価のボラティリティが他の銘柄より群を抜いている印象が強かった。ただし、先月との決定的な違いはボラティリティ増加は、下落相場への方向へ向かって確認できたことだ。先月の日経平均株価は30,000ドルを超え、力強く上昇相場と共にボラティリティ増加傾向を示していた。しかし、10月の日経平均株価が最も高いボラティリティを記録した4日、日足では1,500ドル幅の大幅下落。ボラティリティの高さは同規模だが、史上最高値を目前に謙虚な売りを考える投資家も多かったのだろう。
算出・選定のルールが変更された
10月の銘柄入れ替えは、例年より注目度が高かった。日経平均株価の算出と、225銘柄の選定ルールを10月より変更したためだ。日経平均株価の算出ルールは「みなし額面方式」から「株価換算係数方式」に変えられ、新規銘柄のウェイトは1%以内に抑えられる仕組みに変わった。新銘柄の任天堂は今回の算出ルール変更と関連しており、株価換算係数0.1と調整されている。株価換算係数方式を採用したことで、1単元当たりの価格が高い「値がさ株」が225銘柄に選ばれやすくなった。
岸田内閣への市場心理
10月は岸田内閣が本格的に始まった月でもある。コロナ禍から回復傾向に向かっているとは言え、中小企業を始め、多くの国民がSNS上では政治に対して不信感を抱いている。給付金や政治家の発言に対する言葉が、ハッシュタグとして毎日トレンドにあがるほどだ。11月からは、新しい給付金に関する協議も行われるが、強いドル高傾向に変化があるか注視していきたい。ドル円のボラティリティを見ると、10月はドル買いが強く、最もボラティリティが大きかったのは11日。同日、ドル円は日足ベースでは3月以降最も大きい約120pipsの大陽線を付けた。10月下旬には勢いこそ衰えたものの、下落幅は限定的、引き続き値動きからもドル高傾向が伺える。
10月中旬にゴールドのボラティリティが最大化
ゴールドのボラティリティ推移(対象月:2021年10月)
10月中旬には主要株価指数の上昇トレンドが終了したと思わせる様な、ゴールド(GOLD)の急上昇が見られた。先月のゴールドと言えば、下降トレンドを描きつつも急落後には7~8割りの戻しをつけ、再び急落といった動きづらい相場が続いていた。しかし、10月のゴールドは、13日に大陽線を付け一日のボラティリティは約380pipsを記録している。先月は、急落後に7〜8割りの戻しだったが、10月は急騰後に7〜8割りの戻しと方向感が大きく変わった。日経平均株価を始めとする、主要な株価指数がほぼ天井圏として利益確定に納得ができる場所にあり、賢明な投資家たちはリスクオフへと備えているのかも知れない。
相関関係と市場の迷い
ボラティリティを伴って大きく上昇したゴールド、リスクオフ相場で「有事の金」として買われるのがセオリーだ。しかし、実際に10月中旬の力強い急騰がリスク相場入りを示すかは分からない。実際に最も強かった日経平均株価がボラティリティを伴って下落しているのは、10月ではなく9月の下旬になる。10月は、ボラティリティこそ先月を下回るものの、先月の下落幅は半分以上も取り戻した。また、ナスダックに関しては、9月の下落幅を完全に取り戻し、引き続き上昇トレンドを継続するに至っている。ボラティリティの計測データでは、日経平均株価の数値を下回るものの、ダウ・ナスダックのいずれも高値更新を達成した。ゴールドの上昇と共に、主要株価指数の強気継続とリスクオフとは言い切れないのが現状だ。いずれも、ボラティリティからは9月ほどの勢いはないものの、主要株価指数とゴールドの相関関係がいつまで続くのかも注視していきたい。