Select Language

ESMA、2020年の監督業務計画を公表

ESMA、2020年の監督業務計画を公表

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.24 16:46
ESMA、2020年の監督業務計画を公表

update 2022.01.24 16:46

信用格付とデータクオリティ及び第三国CCPを重点監督

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、信用格付機関(Credit Rating Agency)【以下、CRAと称す】及び取引情報蓄積機関(Trade Repository)【以下、TRと称す】の監督と、第三国中央清算機関(Third-Country CCP)【以下、第三国CCPと称す】及び第三国証券保管振替機構(Central Securities Depositories)【以下、第三国CSDと称す】のモニタリングを重点監督事項として定めた2020年の監督業務計画を公表した。[1]

2020年のESMAの重点監督事項の1つであるCRAに関しては、信用格付に内包する様々なリスクやIT及び情報セキュリティ面の課題の認識、強固な格付プロセスの構築に優先的に取り組むという。また、信用格付のアクセス及びユーザビリティの向上、CRAの独立した監督機能の構築にも注力する計画だ。TRについては、データクオリティ及び当局によるアクセスの確保、ITやソフトウェア関連の内部監督のモニタリング、効果的な情報セキュリティやビジネスの継続性、災害復旧計画の策定に対し重点的に取り組むとのことである。

第三国CCP・CSDに関しては、両機関に対するブレグジットの影響のモニタリング及び英国を拠点とする第三国CCPを含む第三国CCP・CSDの再評価、欧州市場インフラ規則2.2(European Market Infrastructure Regulation 2.2, EMIR2.2)を遵守した新監督スキームの構築、ティア2クラスのCCPを対象とした新モニタリングシステムの策定及び実施に優先的に取り組むという。また、第三国CCPの潜在リスクやEC(欧州委員会)の等価性判定に基づく第三国CSDの適用評価にも注力する模様だ。

ESMAは監督業務計画と並行して、証券金融取引規則(Securities Financing Transactions Regulation, SFTR)と証券化規則(Securitisation Regulation, SECR)、ベンチマーク規則及び金融商品市場規則(Markets in Financial Instruments Regulation, MiFIR)に基づく新たな監督スキームの構築を計画しているという。尚、同局はブレグジットの混乱を最小限に食い止めるべく、移行期間終了に向けた各金融機関の対応状況のモニタリングを続けるとのことだ。

監督業務計画の公表に際し、ESMAのSteven Maijoor氏は以下のようにコメントしている。

我々は汎欧州の監督当局として10年目を迎えましたが、CRA及びTRの監督を強化していく意向であります。両機関の手数料やブレグジット関連のコンティンジェンシープラン(緊急時対応)、ローン担保証券に関連した信用格付評価、TRのデータクオリティなどにおいて改善が見受けられます。ESAレビューに基づき当局の監督責任が増すなか、我々はこの10年間において重要な役割を担ってきたと確信しております。当局はCRAやTRに加え、証券保管振替機構やクリティカルベンチマークなどの監督者として新たな役割を演じることを楽しみにしており、監督業務を通じて、秩序ある金融市場の構築や投資家保護、金融市場の安定性確保に寄与する考えであります。

Steven Maijoor, Chair of ESMA - ESMAより引用

ESMAが重点監督領域に掲げたCRAやTR、第三国CCP・CSDは、今後同局が規制強化を図る可能性があることから、新たな規制に対しより柔軟に対応する経営姿勢が求められそうだ。

release date 2020.03.11

出典元:

ニュースコメント

統一規制スキームの構築に躍起なESMA

監督権限が強化されたESMAはTRV関連レポートを公表するなど、欧州全域を統一的に監督するための新たな規制フレームワークの構築に向け、積極的に多岐にわたる規制策案を作成している。今回ESMAが公表した監督業務計画においては、CRAやTR、第三国CCPなどが重点監督の対象に定められたが、他にもオルタナティブ投資ファンド関連レポートを公表したり、エクイティ性商品のリアルタイムな統合テープの導入を推奨するなど、金融業界の様々なプレーヤーに関連した規制策の導入を検討している状況だ。他方で、FCAが英国CFDプロバイダーの利益減少を試算するなか、同国を拠点とする海外FXブローカーがブレグジット後を見据えた経営戦略を推進させている。例えば、FXCM ProはMaxxTraderを活用したオンボーディングを開始し、英国のみならず世界中に張り巡らされたホスティングセンターを活用したソリューションの提供を試みている。フィンテック企業がひしめき合う英国を始めとする欧州市場において顧客の維持・拡大を図るべく、海外FXブローカー各社が如何なる画期的なソリューションを打ち出すのか注目したい。


Date

作成日

2020.03.11

Update

最終更新

2022.01.24

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

海外FX業者の口座開設手順を徹底調査|IB向きの業者を選ぶ基準

海外FX業者によって口座開設時に必要な手順は異なります。したがってIBに向いている海外FX業者を選ぶ1つの基準として、口座開設手順についても考慮する必要があるのです。Myforexでは各海外FX業者における口座開設時の入力項目数を調査しました。
New
update2024.03.28 20:00

Zoomexが現物取引キャンペーンを開催!取引高の達成で最大50USDTのボーナスを獲得

Zoomex(ズーメックス)が、現物取引キャンペーンを開催しています。所定の現物取引高を達成するだけで、最大50USDT分のボーナスを獲得できます。キャンペーン期間は、2024年3月26日午前9時〜4月9日午前9時(日本時間)までです。
New
update2024.03.28 20:00

Merlin Chainとは?話題のビットコインレイヤー2の評判や将来性を解説

Merlin Chainは、ビットコインのレイヤー2の一種です。当記事では、Merlin Chainの将来性やX(旧Twitter)での評判、Merlin's Sealの詳細などについて解説します。
New
update2024.03.28 19:00

メタマスクのイーサリアムステーキングのやり方|利率や仕組みも解説

メタマスクでは、イーサリアムやポリゴンをステーキングして報酬を獲得することが可能です。2024年1月には、バリデーターステーキングが登場し、ユーザーの選択肢が広がっています。当記事では、メタマスクの2種類のステーキングのやり方や仕組み、リスクなどを解説します。
update2024.03.26 20:30

Traders Trustで開催されているボーナスキャンペーンとは?内容や出金条件を徹底解説!

Traders Trustでは、取引量に応じて現金として出金できるボーナスやキャッシュバックを受け取れるボーナスを中心に開催されています。キャンペーンによっては出金に取引条件があるので事前に確認しておきましょう。
update2024.03.25 20:00

TradingViewに通貨強弱を表示する方法を解説!無料インジケーターの見方や設定方法とは

TradingViewにおいて無料で利用できる通貨強弱インジケーターの見方と設定方法を解説します。チャート分析と組み合わせることでトレンド予測がより正確になります。またヒートマップや通貨インデックスなどTradingViewの公式ツールも紹介します。
update2024.03.21 20:30

Zoomexがビットコイン価格予想キャンペーンを開催!毎週3名に400ドルのボーナス獲得のチャンス

2024年3月13日、海外取引所のZoomex(ズーメックス)が、「ビットコイン価格予想キャンペーン」の開催を発表しました。ビットコインの価格を予想するだけで、400ドル相当のボーナスを獲得できるチャンスです。キャンペーンの詳細や参加方法を解説します。
update2024.03.21 20:00

Galaxy DAOの欠点が浮き彫りに|出金状況やコンテスト中止の原因

Galaxy DAOは返金に向けて動いていたり、サービスを今後も拡大していったりするように見せていますが、実情は異なるようです。トレードコンテストの中止や、MT4とEAの利用停止などGalaxy DAOの欠点が浮き彫りになりつつあります。
update2024.03.19 21:00

仮想通貨ETHFIの将来性は?分散型ステーキングプロトコルether.fiの評判や特徴を解説

仮想通貨ETHFIは、分散型ステーキングプロトコルether.fiのガバナンストークンです。当記事では、仮想通貨ETHFIの将来性やX(旧Twitter)での評判、ether.fiの特徴などについて解説します。
update2024.03.19 20:30

Titan FXが花月トレードコンテストを開催!入金なしで参加可能

海外FX業者のTitan FXが、「花月トレードコンテスト」を開催することを発表しました。コンテストでは専用のデモ口座を使用するため、自己資金をリスクにさらすことなく参加できます。上位入賞者には賞金も贈られます。
update2024.03.18 20:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル