Select Language

FCA、金融パスポート継続措置を導入

FCA、金融パスポート継続措置を導入

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.27 15:37
FCA、金融パスポート継続措置を導入

update 2022.01.27 15:37

ハードブレグジットに備え、緊急時対応策の採用を決断

英国の金融監督当局である英国金融行動監視機構(The Financial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】は1月7日、ブレグジット(英国のEUからの離脱)に関するコンティンジェンシープラン(緊急時対応)として、金融パスポート継続措置(the temporary permissions regime)を導入することを発表した。[1]

2018年10月、FCAはブレグジット後の規制策に関する諮問書を公表した際、仮に英国が移行期間なしの合意なき離脱(ハードブレグジット)となった場合に、FCAからの完全な認可が下りるまでの一時的なパスポーティング制度を導入する意向を示し、現行のパスポーティング制度を利用することで、EEA(European Economic Area、欧州経済地域)諸国から英国にて事業を営む金融機関や電子マネー事業者(Electronic Money Institution)、決済サービスプロバイダー、ファンドマネージャーなどが、ハードブレグジット後においても、大きな混乱なく事業の継続性を保ちつつ業務を営めるようにするための対応策として検討していた。

MiFID(金融商品市場指令)に基づく現行のパスポーティング制度は、EEA諸国の規制下にある海外FXブローカーや金融機関が、EU域内の1か国で事業認可を取得した場合、他のEEA諸国それぞれにおいて、再度認可を受けることなく事業を営むことが可能となる制度である。ただし、ブレグジットは3月29日と数か月後に迫ってきており、仮に英国政府とEUの交渉が合意に至らずハードブレグジットとなれば、EUから離脱する英国とのパスポーティング制度を活用できなくなる事態が生じることが危惧されている。そのため、FCAがこの度金融パスポート継続措置を導入することで、現行のパスポーティング制度を利用して英国内で事業を営むEEA諸国の金融機関や投資会社などが、英国のライセンスを取得しスムーズな移行を行えるよう時間的猶予を与える模様だ。

FCAは、金融パスポート継続措置の活用を検討する企業に対し、英国政府が導入した各種情報の共有を図るネットワーク・プラットフォームであるConnectシステムを利用して、速やかに届け出を行うよう求めている。届け出期間は、1月7日から3月28日までであり、届け出手続きに手数料はかからないとのことだ。また、ファンドマネージャー及び投資会社に関しては、Connectシステムを通じ、現行パスポーティング制度の適用を受けるファンドの内、どのファンドを引き続き英国内にてマーケティングを行っていきたいかを明確にする必要があり、もしも3月28日までに届け出を提出しなかった場合、該当ファンドのマーケティングについては金融パスポート継続措置を活用することができなくなるとしている。ただし、例外措置として、EUファンドパスポート制度(Undertakings for collective investment in transferable securities, UCITS)に基づく新ファンドに関しては、ブレグジット後も引き続き金融パスポート継続措置が適用される予定となっている。

release date 2019.1.8

出典元:

ニュースコメント

ブレグジットに揺れる英国

この度、FCAにより一時的な処置が講じられたものの、これまでにブレグジットをめぐる問題がブローカーに与えた影響は深刻であり、事業の閉鎖に追い込まれた企業も少なくない。先日明らかとなった、英国・ロンドンを拠点とするFX・CFDブローカーであるAbshire-Smithが英国事業を閉鎖したことも、ブレグジットがひとつの要因であると考えられている。また、英国政府とEUが離脱条件をまとめた協定案に関しては、英国議会の承認が必要で、その議会採決が12月に行われる予定だったが、その際にも多くのブローカーがレバレッジ規制を設けるなどブローカーは常に対応に追われている状況が続いている。議会採決は結局延期となり、1月14日または15日に行われる見通しとなっているものの、議会より承認を得ることは難航必至と見られており、英国経済の行方はこの協定案の承認を得ることができるか否かに左右され、最悪のシナリオとして合意なきブレグジット、そして来年の英国の景気後退という展開が予想されている。金融当局、金融機関・ブローカー、投資家のそれぞれが適宜に、且つ入念に対応策を実施していく必要があるだろう。


Date

作成日

2019.01.08

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

ThreeTraderが3周年を記念したキャンペーンを開催!

海外FX業者のThreeTraderが、3周年を記念したキャンペーンの第一弾を開催しています。キャンペーン期間中に本人確認審査を完了、または初回入金を行うと合計20ドルのキャッシュバックを受け取れます。
New
update2024.04.19 21:00

Bybitの新ローンチパッドに仮想通貨PBUXが登場!参加方法やPlaybuxの独自トークンについて解説

Bybitのローンチパッドに仮想通貨PBUXが登場します。PBUXは、エンターテインメントWeb3.0プラットフォーム「Playbux」の独自トークンです。計測開始日時は2024年4月18日午前9時からです。
update2024.04.18 21:00

XS.comが賞金総額100万円超のデモトレード大会「Lucky Contest」を開催!

海外FX業者のXS.comが、2024年4月29日よりデモトレード大会「Lucky Contest」を開催します。上位5名には総額100万円の賞金が贈られ、上位入賞を逃した方にも抽選で賞金が当たります。参加には事前のエントリーが必要です。
update2024.04.17 20:00

仮想通貨OMNIの将来性は?ロールアップを統合するレイヤー1ブロックチェーンについて解説

仮想通貨OMNIは、イーサリアムのロールアップを統合するブロックチェーン、Omni Networkのネイティブトークンです。Omni Networkを使用すると、イーサリアムの流動性とユーザーにアクセスできるグローバルアプリケーションを構築できます。
update2024.04.16 21:00

メタマスクにリップル(XRP)は送金できる?メタマスクの対応ブロックチェーンについて解説

メタマスク(MetaMask)は、複数の仮想通貨(暗号資産)を管理できる人気の高い仮想通貨ウォレットですが、メタマスクにリップル(XRP)は送金できるのでしょうか。
update2024.04.16 20:00

仮想通貨SUI(スイ)に対応したウォレットの作り方|ウォレットの種類や機能も解説

Mysten Labsが開発するレイヤー1ブロックチェーン「Sui Network」上では、さまざまなWeb3アプリが開発・提供されています。アプリを利用する際に必要となるのが、SUIウォレットです。主なSUIウォレットの種類や機能、作り方、SUIウォレットのリスクなどを解説します。
update2024.04.12 20:00

仮想通貨SAGAの将来性は?Web3開発者向けプラットフォームの評判や仕組みを解説

仮想通貨(暗号資産)SAGAは、レイヤー1プロトコルSagaのネイティブトークンです。Sagaは、開発者がWeb3プロジェクトを簡単にローンチできるプラットフォームとして機能します。
update2024.04.11 20:00

Titan FXが上限額なしのGW無限キャッシュバックキャンペーンを開催!

Titan FX(タイタンエフエックス)が2024年4月22日から「GW無限キャッシュバック」キャンペーンを開催します。入金額と取引量の条件を満たしたユーザーが、期間内であれば条件を満たす度に何度でも、上限額なしで無制限にキャッシュバックを受け取れるという内容です。
update2024.04.05 21:00

Mantle Rewards Stationとは?MNTステーキングの仕組みやmShardsについて解説

Mantleが「Mantle Rewards Station」というキャンペーンを開催しました。ユーザーは仮想通貨MNTをステーキングすると、mShardsというレシートトークンを獲得でき、将来的に仮想通貨ENAと交換できます。
update2024.04.05 20:30

FXDDが春の22%入金ボーナスキャンペーンを延長

老舗の海外FX業者として知られるFXDDが、2024年4月1日より春の22%入金ボーナスキャンペーンを開催中です。キャンペーン期間中に入金すると22%のボーナスが付与されます。
update2024.04.05 20:15
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル