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英ブレグジットへの懸念が和ぎ、ポンドが急伸

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update 2021.08.31 15:22
英ブレグジットへの懸念が和ぎ、ポンドが急伸

update 2021.08.31 15:22

ユーロ買いは長続きせず

9月10日の為替市場は、中国と米国による貿易摩擦の先行き不透明感が漂うなか、投資家は世界情勢を見守る慎重姿勢を崩さず、為替相場全体の値動きは乏しいものとなったが、ブレグジット(Brexit、英国のEUからの離脱)に関するバルニエ発言をきっかけに英ポンドが急騰し、8月2日以来の高値となる1.3087ドルを超える大幅高を演じた。

英国のブレグジット交渉に関しては、欧州委員会のミシェル・バルニエ首席交渉官がスロベニアで開催された会合において、交渉は向こう6から8週間で合意にこぎつけられるとコメントした。この発言が、マーケットに混乱を巻き起こしうる合意なしのブレグジットを避けられると好感され、幾分楽観的な見通しが示されたようだ。なお英国のガーディアン紙は、ブレグジット条件について検討を行うEUサミット(欧州首脳会議)を11月中に緊急開催することを来週発表する見込みだと報じており、引き続きブレグジット関連のヘッドラインにトレーダーが右往左往する展開が続きそうだ。[1]

一方で、ユーロは一時買いの手が入り、0.4%上昇の1.1644ドルをつける場面が見られたが長続きはせず、投資家のリスク許容度の低下と相まってその後は1.1576ドルまで押し戻されている。10日、伊トリア財務相が、EUの財政規律に沿った2019年度予算を発表すれば債券利回りは低下するだろうと発言したことがきっかけとなり、同国を取り巻く財政懸念が後退し、このところ上昇が目立っていた国債利回りも低下している。

そして、主要国通貨に対するドルの総合的な価値を示すドルインデックス(ドル指数)は、0.1%上昇の95.28となった。ドルインデックスの構成通貨のうち一番多くを占めるのがユーロであるが、過去1年ほどでドルインデックスは大きく上昇していることから、相対的にドルの強さもしくはユーロの弱さを読み取ることができる。[2]

そのような中、Societe GeneralのアナリストAlvin Tan氏は、13日に行われるECB理事会がユーロ相場に大きく影響を与えることはないと見込んでいる。ただし、10日時点の投機筋のポジションを見てみると、ドルのロングポジションを減らしていることが分かり、このことは投資家がドルの上昇に対しても慎重な姿勢であることが伺える。アナリストの中には、ユーロ・ドル相場がはっきりとトレンドを示し出すには、米国と中国の貿易摩擦がある程度解消される必要があると主張しているほか、BNY MellonのストラテジストNeil Mellor氏は、ユーロドル相場はやや膠着相場にある、とコメントしている。

その他の主要通貨の動向を見ていくと、日本の半導体大手ルネサスエレクトロニクス(本社:東京都江東区豊洲三丁目2番24号[3])が、米同業のインテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(本社:6024 Silver Creek Valley Road, San Jose, CA 95138 USA[4])を67億ドルで買収するとの発表を受け、ドル調達の影響もあり、ドル円は0.3%円安の111.41円で推移している。

また、オーストラリアドルは2016年2月以来の安値となる0.71ドルに下落している。中国と米国の貿易戦争が中国経済に悪影響を与えることが予想されており、オーストラリアにとって最大の貿易相手国である中国経済の鈍化は、オーストラリアの輸出産業へ大きな打撃を与えるとの懸念が高まっている。これを受け、BNY MellonのMellor氏は、豪ドルはグローバルリスクに大いにさらされており状況は悪化している、とコメントしている。

release date 2018.9.11

出典元:

ニュースコメント

ブレグジットの各方面への影響

来年3月30日に予定されているブレグジットは、為替や株価へ与える影響が大きく、これまでにもミシェル・バルニエ氏の発言を受けた大幅な市場変動がみられてきた。また、各方面への影響も大きく、ESMAはライセンスの取得を求める声明(英国のEU離脱後もEU内におけるサービス提供を希望する場合、EU加盟国内にてライセンスの取得を求める声明)を発表している。これに続き、キプロス証券取引委員会もライセンス取得の申請書を英国ブローカーに対しブレグジット前に早めに提出するよう強く要請している。そして、ルクセンブルクに拠点を置くインターナックスをスイスクォートが買収するなど、多くの銀行や金融機関はブレグジット後のEUでのサービス提供に向けた準備を進めている。EUは11月中旬にEUサミットを開催して同日までの合意を目指しているというが、これまでのところ離脱条件などの交渉は難航しており、今後もブレグジットをめぐる影響は計り知れない。


Date

作成日

2018.09.11

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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