Select Language

イラン、米国の圧力でSWIFTによる国際銀行間取引禁止へ

イラン、米国の圧力でSWIFTによる国際銀行間取引禁止へ

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.10.22 07:53
イラン、米国の圧力でSWIFTによる国際銀行間取引禁止へ

update 2022.10.22 07:53

打開策は金やビットコインの保有

国際銀行間通信協会(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)【以下、SWIFTと称す】は、米国と対立関係にあるイランをブラックリストに追加しており、今月12日からイラン国内の銀行での同協会システムを利用した取引を停止することを発表した。

SWIFTは、世界200か国以上1,1000もの金融機関が利用する国際決済システムだ。[1]この度、米国の圧力の影響を受け、イラン中央銀行を含む多くのイランの銀行の締め出しが決定されており、このことについて、米国アメリカ合衆国財務長官であるSteven Mnuchin氏は、世界金融システムの健全性を守る上では正しい決定だったと述べている。

イランは、SWIFTへのアクセスを絶たれることで、輸出入の決済が不能となることが予測される。5月にトランプ大統領が米国の離脱を表明した共同包括行動計画(Joint Comprehensive Plan of Action)【以下、JCPOAと称す】による経済制裁からの経済状況の回復に支障をきたすことが懸念されており、同国は経済的存続をかけた対策に迫られている。

元金融ブローカーで現ブロードキャスターのMax Keiser氏によると、イランはエネルギー調達に関しては米ドル以外を利用することで米ドル依存を回避しているが、自国通貨の価値を裏付けるためにも、金やビットコインの保有量を高める必要があるという。今回の米国のイランに対する強行策は、米ドルの代替となる資産を保有する重要性を強調した結果となったと言えるだろう。Keiser氏は加えて、この動きは米ドル経済の崩壊を加速すると警笛を鳴らしており、米国はSWIFTをコントロールすることで、世界経済の米ドル離れを急速に進めようとしていることにも言及している。

既にロシアや中国などは、米ドル依存の状況から逃れるため、数百トンもの金の購入を進めると同時に、SWIFTの代替となるようなシステムの開発にも着手しているという。また、8月にトランプ大統領が新たな制裁を課すことが決定し、米国政府との関係が悪化しているロシアに限って言えば、金の保有量を830億ドル以上に増やすとともに、ロシアが保有する米国債は、3月から5月にかけて960億ドルから146億ドルまで大幅に減少している。

この状況について、Keiser氏は以下のようにコメントしている。

世界は、米ドルの狂気とも言える時代が終わることを切望しています。金やビットコインによる金融体制は、米ドル経済の終わりを意味します。SWIFTの代替となるシステムの開発は比較的簡単ですが、世界経済の惰性が問題と言えるでしょう。

Max Keiser, Broadcaster - RT.comより引用

8月にEUの首脳国は、JCPOAの救済措置として、米国主導の経済制裁から企業の自由を守る法律を制定したことにより、SWIFTは規則違反として罰金を受ける可能性が指摘されている。欧州ではイランとの国交を継続させるために、代替となる決済システムの開発が進んでいるが、少なくとも数か月はかかる見通しだ。

release date 2018.11.13

出典元:

ニュースコメント

経済制裁の回避策となる仮想通貨

米国は、イランや北朝鮮、ロシアなどの敵対する国や地域に対して、幾多もの経済制裁を実施してきた。対象となった国は、外国からの投資や輸出入が停止することによる経済的な実害を受けてきたが、近年、ビットコインなどの仮想通貨の利用により、それを回避する手段が確立されつつある。例えば、今年9月には、米国が支持するイスラエルと戦闘状態にあるパレスチナではビットコインがライフライン化しており、ガザ地区やヨルダン川西岸地区の住民は、外国からサービスや商品を購入するためにビットコイン決済を活用していることが伝えられている。また、ある報告書では、度重なる核ミサイルの発射や核実験などで、米国を中心とした経済制裁網の中にあった北朝鮮で仮想通貨を金融制裁の回避策として利用していることも明らかにされた。ビットコインや仮想通貨の利便性の高さやボーダーレスな特性は、特に米国などにとっては制裁を無効化する厄介な存在となっていると考えられるが、多くの民間人を救っている正の側面を持つこともまた事実で、一概に悪だとは言い難いだろう。


Date

作成日

2018.11.13

Update

最終更新

2022.10.22

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

ThreeTraderが3周年を記念したキャンペーンを開催!

海外FX業者のThreeTraderが、3周年を記念したキャンペーンの第一弾を開催しています。キャンペーン期間中に本人確認審査を完了、または初回入金を行うと合計20ドルのキャッシュバックを受け取れます。
New
update2024.04.19 21:00

Bybitの新ローンチパッドに仮想通貨PBUXが登場!参加方法やPlaybuxの独自トークンについて解説

Bybitのローンチパッドに仮想通貨PBUXが登場します。PBUXは、エンターテインメントWeb3.0プラットフォーム「Playbux」の独自トークンです。計測開始日時は2024年4月18日午前9時からです。
update2024.04.18 21:00

XS.comが賞金総額100万円超のデモトレード大会「Lucky Contest」を開催!

海外FX業者のXS.comが、2024年4月29日よりデモトレード大会「Lucky Contest」を開催します。上位5名には総額100万円の賞金が贈られ、上位入賞を逃した方にも抽選で賞金が当たります。参加には事前のエントリーが必要です。
update2024.04.17 20:00

仮想通貨OMNIの将来性は?ロールアップを統合するレイヤー1ブロックチェーンについて解説

仮想通貨OMNIは、イーサリアムのロールアップを統合するブロックチェーン、Omni Networkのネイティブトークンです。Omni Networkを使用すると、イーサリアムの流動性とユーザーにアクセスできるグローバルアプリケーションを構築できます。
update2024.04.16 21:00

メタマスクにリップル(XRP)は送金できる?メタマスクの対応ブロックチェーンについて解説

メタマスク(MetaMask)は、複数の仮想通貨(暗号資産)を管理できる人気の高い仮想通貨ウォレットですが、メタマスクにリップル(XRP)は送金できるのでしょうか。
update2024.04.16 20:00

仮想通貨SUI(スイ)に対応したウォレットの作り方|ウォレットの種類や機能も解説

Mysten Labsが開発するレイヤー1ブロックチェーン「Sui Network」上では、さまざまなWeb3アプリが開発・提供されています。アプリを利用する際に必要となるのが、SUIウォレットです。主なSUIウォレットの種類や機能、作り方、SUIウォレットのリスクなどを解説します。
update2024.04.12 20:00

仮想通貨SAGAの将来性は?Web3開発者向けプラットフォームの評判や仕組みを解説

仮想通貨(暗号資産)SAGAは、レイヤー1プロトコルSagaのネイティブトークンです。Sagaは、開発者がWeb3プロジェクトを簡単にローンチできるプラットフォームとして機能します。
update2024.04.11 20:00

Titan FXが上限額なしのGW無限キャッシュバックキャンペーンを開催!

Titan FX(タイタンエフエックス)が2024年4月22日から「GW無限キャッシュバック」キャンペーンを開催します。入金額と取引量の条件を満たしたユーザーが、期間内であれば条件を満たす度に何度でも、上限額なしで無制限にキャッシュバックを受け取れるという内容です。
update2024.04.05 21:00

Mantle Rewards Stationとは?MNTステーキングの仕組みやmShardsについて解説

Mantleが「Mantle Rewards Station」というキャンペーンを開催しました。ユーザーは仮想通貨MNTをステーキングすると、mShardsというレシートトークンを獲得でき、将来的に仮想通貨ENAと交換できます。
update2024.04.05 20:30

FXDDが春の22%入金ボーナスキャンペーンを延長

老舗の海外FX業者として知られるFXDDが、2024年4月1日より春の22%入金ボーナスキャンペーンを開催中です。キャンペーン期間中に入金すると22%のボーナスが付与されます。
update2024.04.05 20:15
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル