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テザー、準備金に関する調査文書を公開

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update 2021.08.31 15:22
テザー、準備金に関する調査文書を公開

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Deltec銀行が調査実施も有効とは言えない結果

世界で最も流通しているステーブルコインを発行するTether Limited【以下、テザー社と称す】は、バハマに拠点を持つDeltec Bank and Trust Limited(本社:Deltec House Lyford Cay, P.O. Box N-3229, Nassau, Bahamas[1])【以下、Deltec銀行と称す】によって実施された準備金に関する調査の結果を示す文書を今月1日に公開した。

今回、テザー社が公開した文書は、以前から疑われていたテザー(Tether)の価値を担保する準備金の存在を証明するためにDeltec銀行が発行したと思われるもので、10月31日時点での現金残高は1,831,322,828ドルと記載されている。[2]しかし、文書には誰の名前も記されておらず、署名もいたってシンプルなことが信憑性に欠けており、Deltec銀行が法的責任を負うことはないことと、現在手元にある情報に基づいている旨の2つの注意書きがあることからも、調査結果の有効性が疑われている。

以前、Deltec銀行は一部メディアに対し、政府が定める法律と自社のプライバシーポリシーの関係でテザー社との関係に関しては正式なコメントはできないと回答した経緯がある。同時に、全ての顧客との関係を適正に保ち、適応される銀行関連の規制に準拠していることや、一貫した自社のポリシーに則った健全な運用を行っていると言及しており、組織としての公平性をアピールしていた。

Deltec銀行がテザー社を正式な顧客として受け入れた事は、調査が終了するまで明かされる事はなかったが、今回の調査は、コンプライアンス、運用ポリシーや方法の分析、株主やステークホルダーのバックグランド確認、ペグ通貨として機能させるための運営の適切さや基金運用の評価など、総合的なアプローチで実施されたとしており、Deltec銀行は、今後もテザー社の調査を継続するとコメントしている。

今回、テザー社が公開したDeltec銀行からの文書は、正式な監査を行わずして、準備金の疑念を払拭する狙いがあるのかもしれない。2017年9月に法律事務所のFreeh Sporkin & Sullivan LLP【以下、FSSと称す】が発行した報告書では、テザー社が少なくとも4億4,000ドルと1,590ユーロの預金を複数の銀行口座に保有しており、十分な資金が存在すると伝えられていた。しかし、対象となる銀行の名前は正確には公表されておらず、FSSが正式な監査を行ったとは言い難い結果となった。FSSは続く6月1日にも調査を実施しており、必要な準備金の存在を仄めかす報告を行なっているが、肝心な文書には、調査結果は保証できないとの記載があり、納得できる情報とはなり得なかった。

先日、テザーはバーンを行った(5億円相当)ことが明らかになったが、これによりテザー社は先月中ごろから意図的に9億3,000万通貨(9億3,000万ドル相当)のテザーの流通を制限していることになる。この動きに関して事業からの撤退や価格操作など、様々な憶測が飛び交っているが、結果的に総流通量は18億通貨まで減少しており、10月14日に急落したテザーは、再び基準となる1ドルに近づきつつある。

release date 2018.11.02

出典元:

ニュースコメント

必要以上に大きい裁量権が不安定さを招く

透明性の高い運用スキームを構築することは、ステーブルコイン普及の観点から最も重要だと考えられているが、実態は必要以上の裁量権を持つ運営企業によってそれが阻害されることが懸念されている。今回のテザーの件も、監査実施のプロセスや監査企業を決定することができるテザー社の権限が招いた結果と言える。今年9月にニューヨーク州金融サービス局が認可したことが報道された、イーサリアムベースのステーブルコインであるGemini Trustのジェミニドルも例外ではなく、運営が問題を抱えているのはテザー同様だ。ジェミニドルのホワイトペーパーには、不測の状況下においては運営がトークンの送金を一時凍結することができる旨が記載されており、ブロックチェーン研究者や一部コミュニティの間では、ジェミニが実質的な支配を握るための取り決めだと批判の対象となっている。先月中旬ごろから、ジェミニドルは取引量も増加しており、価格も1通貨あたり1ドル付近を推移し安定しているが、再びこの懸念が持ち上がった際にはバランスを崩す危険性も大いにあると言えるだろう。引き続き動向を見守っていきたい。


Date

作成日

2018.11.02

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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