Select Language

JPモルガンチェース、次世代型FXアルゴリズム取引ツールを開発

JPモルガンチェース、次世代型FXアルゴリズム取引ツールを開発

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:30
JPモルガンチェース、次世代型FXアルゴリズム取引ツールを開発

update 2021.08.31 15:30

アルゴリズム取引は着実ながらも業界に浸透

電子FX市場【以下、eFXと称す】において、アルゴリズムを用いた取引手法が進化を遂げる中、米国大手投資銀行であるJPMorgan Chase & Co.(本社:270 Park Avenue New York, NY 10017[1])【以下、JPモルガンチェースと称す】が、機械学習(Machine Learning, ML)を活用した次世代型のアルゴリズム取引ツールであるDNA(Deep Neural Network for Algo Execution)を開発したことが明らかになった。

eFX市場の拡大に伴い、機械学習を用いることで、取引スピードの向上を図るなど、業界の勢力図を一変させるような動きがみられ始めている。初期段階のアルゴリズムでは、比較的単純なパラメーターをもとに売買を行うプログラム設計であったが、クオンツをベースとした取引手法の進化により、eFX業界は大きく発展を遂げている状況だ。

シンプルなアルゴリズムから、より洗練された投資戦略へと進化を遂げたことにより、クオンツ取引が多用されると共に、投資家は数学理論に基づくプライシングモデルを積極的に利用するようになった。また、為替トレーダーにとって従来より大きな課題となっていた大口注文時のスリッページを解消し、市場インパクトを軽減するために、注文を小口化することで、より有利なポジションを保有する戦略を用い始めている。そして、最新のアルゴリズムを活用した取引手法としては、大口注文を異なる時間帯に分散させて取引する時間加重平均(Time Weighted Average Price, TWAP)アルゴリズムが挙げられる。また、日中の出来高に応じて大口注文を分割したうえで適当な時間間隔で取引する出来高加重平均(Volume Weighted Average Price, VWAP)アルゴリズムは、より一般的に用いられる手法となっている。現在では、eFX業界の主要リクイディティプロバイダー(流動性供給業者)の顧客が、これらのアルゴリズム取引への関心を高めていることから、金融機関も市場インパクトを軽減させる一連のアルゴリズム取引サービスを強化している状況だ。

そのような市場環境下において、JPモルガンチェースではFX市場の顧客を対象として、DNAを活用したFX取引サービスの提案を行っている。同社のマクロeコマース部門ヘッドを務めるChi Nzelu氏は、DNAには大口注文の市場インパクトを軽減させることを目的として、異なる市場環境における類似データを活用し、最善の取引手法を提案する最適化機能が付帯されているという。また、機械学習の一種である強化学習(Reinforcement Learning)を用いることで、個々の取引パフォーマンスを評価する機能も備わっているとのことだ。JPモルガンチェースは、現状DNAの活用によって既存の取引戦略手法の改善に繋がるケースは限定的であるが、将来的には様々な市場環境に対応したアルゴリズム取引手法の開発を目指すとコメントしている。

加えてJPモルガンチェースは、従来、人間が開発したプログラミングやルールを徹底した取引手法とは大きく異なり、よりロジスティクなアルゴリズム取引を実践すべく、データの相似性に基づく強化学習を活用したDNAを開発したという。これにより、DNAは仮に様々な障害に直面したり、現在用いている投資戦略が有効でなくなったとしても、アルゴリズム自らが市場環境に応じた最適な取引手法を見出すとのことだ。JPモルガンチェースのDNA開発チームの主席ストラテジストであるSam Nian氏によると、DNAを含む人口ニューラルネットワークは、脳機能にみられる特性に類似した数理的モデルであり、複雑な環境においてもモデリングを可能とするという。また、同社の別の主席ストラテジストであるTanya Tang氏は、DNAの強化学習においては、回帰分析や教師あり学習(Supervised Learning)、人間が策定した取引ルールなどに従う代わりにより柔軟性があり、人間のバイアスを取り除いた取引手法を用いることができると説明している。なお、JPモルガンチェースは独自仮想通貨を開発したり、更にJPモルガンチェースはイーサリアム向けプライバシー機能を開発するなど、最先端テクノロジーを活用した画期的なソリューションの提供を試みており、今後も業界の勢力図を一変させるような新商品の開発を期待したい。

release date 2019.08.23

出典元:

ニュースコメント

世界を席巻するアルゴリズム取引

アルゴリズム取引とは、コンピュータープログラムが為替の値動きや出来高などに応じて、自動的に売買注文のタイミングや数量を決めて注文を繰り返す取引手法のことだ。現在では欧米を始め、日本国内の機関投資家の間でも広く普及している。これらの大口注文をこなす機関投資家にとっては、市場において他社以上の運用パフォーマンスをあげるために、いかにして自身の取引が市場に与える影響を抑えるかが非常に重要な課題となっている。そのため、JPモルガンチェースを始めとする多くの金融機関にて、VWAPやTWAP、平均取引価格を終値に近づけるMOC(Market On Close)、市場インパクトと取引タイミングコストを最適化し一定時間内に取引を完了させるIS(Implementation Shortfall)といったアルゴリズム取引手法の開発が積極的に行われると共に、注文のシステム化が図られている状況だ。アルゴリズムを用いた取引手法の一つである高頻度取引(HFT)は、世界一の金融市場である米国において、約定株数ベースで約50%を占めるまでに利用拡大しているほか、2019年の年初に日本円がフラッシュクラッシュした際も、HFTが市場の価格変動を高めたとして、その影響力が拡大していることがうかがえる。今後も、最良執行を目指す機関投資家からの高い需要を背景に、金融機関によるアルゴリズム取引手法の開発競争は激化するものと予想される。


Date

作成日

2019.08.23

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

海外FX業者の口座開設手順を徹底調査|IB向きの業者を選ぶ基準

海外FX業者によって口座開設時に必要な手順は異なります。したがってIBに向いている海外FX業者を選ぶ1つの基準として、口座開設手順についても考慮する必要があるのです。Myforexでは各海外FX業者における口座開設時の入力項目数を調査しました。
New
update2024.03.28 20:00

Zoomexが現物取引キャンペーンを開催!取引高の達成で最大50USDTのボーナスを獲得

Zoomex(ズーメックス)が、現物取引キャンペーンを開催しています。所定の現物取引高を達成するだけで、最大50USDT分のボーナスを獲得できます。キャンペーン期間は、2024年3月26日午前9時〜4月9日午前9時(日本時間)までです。
New
update2024.03.28 20:00

Merlin Chainとは?話題のビットコインレイヤー2の評判や将来性を解説

Merlin Chainは、ビットコインのレイヤー2の一種です。当記事では、Merlin Chainの将来性やX(旧Twitter)での評判、Merlin's Sealの詳細などについて解説します。
New
update2024.03.28 19:00

メタマスクのイーサリアムステーキングのやり方|利率や仕組みも解説

メタマスクでは、イーサリアムやポリゴンをステーキングして報酬を獲得することが可能です。2024年1月には、バリデーターステーキングが登場し、ユーザーの選択肢が広がっています。当記事では、メタマスクの2種類のステーキングのやり方や仕組み、リスクなどを解説します。
update2024.03.26 20:30

Traders Trustで開催されているボーナスキャンペーンとは?内容や出金条件を徹底解説!

Traders Trustでは、取引量に応じて現金として出金できるボーナスやキャッシュバックを受け取れるボーナスを中心に開催されています。キャンペーンによっては出金に取引条件があるので事前に確認しておきましょう。
update2024.03.25 20:00

TradingViewに通貨強弱を表示する方法を解説!無料インジケーターの見方や設定方法とは

TradingViewにおいて無料で利用できる通貨強弱インジケーターの見方と設定方法を解説します。チャート分析と組み合わせることでトレンド予測がより正確になります。またヒートマップや通貨インデックスなどTradingViewの公式ツールも紹介します。
update2024.03.21 20:30

Zoomexがビットコイン価格予想キャンペーンを開催!毎週3名に400ドルのボーナス獲得のチャンス

2024年3月13日、海外取引所のZoomex(ズーメックス)が、「ビットコイン価格予想キャンペーン」の開催を発表しました。ビットコインの価格を予想するだけで、400ドル相当のボーナスを獲得できるチャンスです。キャンペーンの詳細や参加方法を解説します。
update2024.03.21 20:00

Galaxy DAOの欠点が浮き彫りに|出金状況やコンテスト中止の原因

Galaxy DAOは返金に向けて動いていたり、サービスを今後も拡大していったりするように見せていますが、実情は異なるようです。トレードコンテストの中止や、MT4とEAの利用停止などGalaxy DAOの欠点が浮き彫りになりつつあります。
update2024.03.19 21:00

仮想通貨ETHFIの将来性は?分散型ステーキングプロトコルether.fiの評判や特徴を解説

仮想通貨ETHFIは、分散型ステーキングプロトコルether.fiのガバナンストークンです。当記事では、仮想通貨ETHFIの将来性やX(旧Twitter)での評判、ether.fiの特徴などについて解説します。
update2024.03.19 20:30

Titan FXが花月トレードコンテストを開催!入金なしで参加可能

海外FX業者のTitan FXが、「花月トレードコンテスト」を開催することを発表しました。コンテストでは専用のデモ口座を使用するため、自己資金をリスクにさらすことなく参加できます。上位入賞者には賞金も贈られます。
update2024.03.18 20:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル