海外FX初心者
海外FX業者には多くの魅力的なメリットがありますが、利用するリスクや注意点については非常に気になるところです。
海外FXは国内FXとは取引条件や規約、ルールが違っているため抑えておくべきポイントがたくさんあります。また、中には悪質な海外FX業者も存在するため、安全性の面を確認することも不可欠な要素です。
この記事では、海外FXに関する基本的な情報から注意点、海外FX業者で安全に取引するポイントについて詳しく解説していきます。
この記事の目次
海外FX業者の注意点は?まずは基本を理解しよう
まずは、海外FXとはどういったFX業者を指すのか、また法的にどういったケースが問題になるのかを解説していきます。
海外FX業者とは日本の金融庁には無登録のFXブローカー
海外FX業者とは通常、海外の金融当局の管轄で運営され、日本の金融庁には無登録の全てのFXブローカーを指します。
日本国内において、国内居住者向けに営業する場合は、日本の金融庁へ「金融商品取引業者」として登録が必要です。海外FX業者は無登録で営業を行っていることになるため、金融庁はこれに対して警告を行っています。
海外FX業者を日本居住者が利用するのは合法
海外FX業者を日本居住者が利用することは合法です。なぜなら、日本居住者が海外FX業者を利用することを禁止する法律はないからです。金融庁による警告は、海外FX業者に対するものであり、トレーダーに向けられたものではありません。
自己判断・自己責任となりますが、日本人トレーダーでも問題なく利用できます。
日本の規制を受けない海外FXならではの取引が可能
海外FXは日本の金融庁による規制を受けないため、以下のような様々な取引のメリットがあります。
海外FXで取引をするメリット
- 1,000倍以上のハイレバレッジ
- 「ゼロカット」の採用で口座残高を超える損失が発生しない
- ボーナスキャンペーンが豊富
海外FXは1,000倍以上のハイレバレッジを提供しているブローカーが多く、少額の資金でもハイリターンを狙えます。また、海外FX業者の多くは口座残高を超える損失が発生した場合、そのマイナス残高をFX業者が補填する「ゼロカット」を採用しています。国内FX業者のように残高マイナスを補填する「追証」が発生しません。
さらに、多くの海外FX業者ではプロモーションの一環として豊富なボーナスキャンペーンが実施されています。自己資金が少なくても、高いレバレッジとボーナスで十分にトレードできるのは、海外FXの大きな強みです。
海外FXの主な注意点を解説
海外FX業者に関する注意点を詳しくご紹介します。国内FXにはない海外FXの仕様や、海外FXについて誤解の多い要素などを詳しく確認しましょう。
悪質な海外FX業者も存在する
海外FX業者は国内FXと比べて数が多く、中にはトレーダーの資金を巻き上げる悪質な運営をしている業者も存在します。正当な理由なく出金拒否を行ったり、意図的なスリッページ、利益取り消しなどを起こすケースも少なくありません。
悪質な業者を回避するためには、主に「金融ライセンス」、「資金の補償体制」の有無を確認します。これらの情報は、公式ページの下部や会社紹介ページに記載されています。
ライセンスの信頼性には違いがあり、ライセンスを保有しているだけでは十分とは言えません。しかし、複数の金融ライセンスを保有していれば、複数の金融監督機関が定める規制を遵守している証拠となるため、比較的安全性が高いと言えます。
単体では、英国金融行為規制機構(FCA)やキプロス証券取引委員会(CySEC)のライセンスが厳格なライセンスとして知られています。また、賠償責任保険等の加入が記載されていれば、資金の安全性が高いと判断できます。
信託保全が義務ではない
国内FX業者は、金融商品取引業の登録時に、顧客資金の区分管理が義務付けられています。顧客資金は信託銀行等に信託されるため、業者が破綻しても顧客資金は保全され返還されます。
一方で、海外FX業者は自社の資金と顧客の資金を物理的に分離された口座で管理する分別管理を採用していることが多く、一定の安全性は確保されています。しかし、資金の返還が義務付けられているわけではないため、完全に保証されている訳ではないのです。
ただし中には、賠償責任保険や紛争解決組織「Financial Commission」に加入し、独自の補償体制を整えているブローカーもあります。そのようなブローカーは、ブローカーの責任で損失が発生したと認められた場合に、トレーダーは高額の補償を受けられるため安全性が高くなります。
国内FX業者よりもスプレッドが広い
国内FX業者はトレーダーの注文を一旦自社で決済することで、独自の狭いスプレッドを提供しています。一方、海外FX業者は市場の取引に基づく変動スプレッドを採用しているため、国内FX業者よりもスプレッドが広くなる傾向にあります。
以下は海外FX業者の中でも最狭級のスプレッドを提供するThreeTrader(スリートレーダー)と国内FX業者のスプレッドを比較したものです。
国内FX業者と海外FX業者のスプレッド比較
メジャー通貨ペア | EURJPY | USDJPY | GBPJPY |
国内FXA社 | 0.4pips | 0.2pips | 0.9pips |
国内FXB社 | 0.4pips | 0.2pips | 0.9pips |
Raw ゼロ口座 | 0.8pips | 0.6pips | 1.0pips |
国内FXA社 | |
EURJPY | 0.4pips |
USDJPY | 0.2pips |
GBPJPY | 0.9pips |
国内FXB社 | |
EURJPY | 0.4pips |
USDJPY | 0.2pips |
GBPJPY | 0.9pips |
Raw ゼロ口座 | |
EURJPY | 0.8pips |
USDJPY | 0.6pips |
GBPJPY | 1.0pips |
国内FXで取引していた方は多少スプレッドが広がることを覚悟しておくべきでしょう。とはいえ海外FXは取引の透明性の高さや高約定率、スリッページの少なさといったスプレッド以外のメリットがあります。
国内で適用される課税制度が異なる
日本居住者が海外FXを利用した場合は、発生した所得の課税制度は国内FXの場合と異なるため注意しましょう。
国内FXで発生した利益に対する課税は申告分離課税となり一律約20%ですが、海外FXで発生した所得は、雑所得を合算した金額に対して課税する総合課税になり、所得が多いほど税率が上がる累進課税が適用されます。所得合計額に対する税率は以下の通りです。
海外FXと国内FXの税率
所得の合計金額 | 海外FXの税率 | 国内FXの税率 |
1,950,000円 | 約15% | 約20% |
1,950,000円超~3,300,000円以下 | 約20% | 約20% |
3,300,000円超〜6,950,000円以下 | 約30% | 約20% |
6,950,000円超〜9,000,000円以下 | 約33% | 約20% |
9,000,000円超〜18,000,000円以下 | 約43% | 約20% |
18,000,000円超〜40,000,000円以下 | 約50% | 約20% |
40,000,000円超〜 | 約55% | 約20% |
1,950,000円 | |
海外FXの税率 | 約15% |
国内FXの税率 | 約20% |
1,950,000円超~3,300,000円以下 | |
海外FXの税率 | 約20% |
国内FXの税率 | 約20% |
3,300,000円超〜6,950,000円以下 | |
海外FXの税率 | 約30% |
国内FXの税率 | 約20% |
6,950,000円超〜9,000,000円以下 | |
海外FXの税率 | 約33% |
国内FXの税率 | 約20% |
9,000,000円超〜18,000,000円以下 | |
海外FXの税率 | 約43% |
国内FXの税率 | 約20% |
18,000,000円超〜40,000,000円以下 | |
海外FXの税率 | 約50% |
国内FXの税率 | 約20% |
40,000,000円超〜 | |
海外FXの税率 | 約55% |
国内FXの税率 | 約20% |
一般的に海外FXの税金は高いと認識されがちですが、そうではありません。海外FXは年間の所得の合計が330万円を超えると、国内FXより高い税率が適用されます。
入出金方法とルールが細かい
海外FXでは、各社で対応している入出金方法と入出金に関するルールが細かく設定されています。主にマネーロンダリング防止の観点から、以下のようなルールが適用されることが多いです。
海外FXの入出金ルール例
- 入金方法と出金方法を合わせる必要がある
- 出金方法に優先順位がある
- 本人口座確認済みの口座でのみ入出金ができる
- ボーナス自体を出金することができない
- 口座資金を出金するとボーナスが一部または全額消滅する
同一人物による出金であることを確認するために、出金方法や名義を同一にする必要があります。また、出金に優先順位があり、クレジットカードやオンラインウォレットで入金した場合、先に出金しなければなりません。
ボーナスを提供しているブローカーは、ボーナス関連の入出金ルールが多いためしっかりと確認しておきましょう。
海外FXの注意点は取引ルールにも!思わぬ落とし穴を回避しよう
これまでの注意点を踏まえ、海外FXの落とし穴を回避して安全に取引する方法を解説します。悪質業者を避けるための基準や、ご自身の求める取引条件を提供しているかなどをしっかり確認しておきましょう。
海外FX業者の利用規約・禁止取引をチェックする
海外FX業者を利用する際には、利用規約や禁止取引を確認しましょう。多くのブローカーで、「異なるブローカー間の両建て」や「アービトラージ」が禁止されています。また、一部のブローカーでは、同一口座内での両建てや、スキャルピングトレードができない場合もあります。
利用規約は、海外FXの口座開設の同意時や公式ページの下部、会社概要ページなどで確認することができます。また、入金ボーナスなどのキャンペーン利用時は、キャンペーン規約もしっかりと確認しましょう。
利用規約を過信しすぎない
悪質な海外FX業者では、利用規約の通りに取引しても一方的に規約違反として出金拒否を行われるということがあります。
出金ルールと入出金方法をチェックする
出金のルールや入出金の利便性などもチェックしておきましょう。出金のルールでは、最低入金額や優先順位、手数料などを確認することが大切です。入出金に使える手段や入金できる通貨、入出金にかかる時間などもポイントです。
また、ボーナスには出金条件などのルールがあり、従わない場合はボーナスが取り消されるケースが多くあります。これらのルールはブローカーの公式ページの入出金方法ページや、口座開設後のマイページ、ボーナスページ等で確認できます。
設定されているレバレッジ制限ルールを確認する
ハイレバレッジを目的に海外FXを利用される方は、各社のレバレッジ制限ルールを確認しておきましょう。海外FX業者では常に最大のレバレッジが適用されるのではなく、以下のレバレッジ制限があります。
レバレッジ制限の例
- 口座残高(有効証拠金)によるレバレッジ制限
- 取引金額(ポジションサイズ)によるレバレッジ制限
- 取り扱い銘柄別のレバレッジ制限
- 口座タイプによるレバレッジ制限
- 時間帯・タイミングによるレバレッジ制限
口座残高(有効証拠金)によるレバレッジ制限は多くのブローカーで採用され、口座残高が高くなるほど最大レバレッジが小さくなります。FXGT(エフエックスジーティー)やAxi(アクシ)など一部のブローカーでは、取引金額(ポジションサイズ)によるレバレッジ制限を受けます。
また、取引銘柄によってレバレッジ制限がかかることも基本です。祝日や重要な指標発表時にレバレッジ制限がかかることがあります。
海外FXの注意点を理解して取引をより安全に
海外FX業者は日本の金融庁に登録されていませんが、日本在住の方が利用することは合法であり問題ありません。ただし、国内FX業者とはルールが異なるため、確認しておくべき注意点は多くあります。また、悪質なブローカーも存在するため、信頼性・安全性を重視したブローカー選びが不可欠です。
海外FXはブローカーごとに取引条件が大きく異なるため、適切なブローカーを選ぶことでご自身にマッチした魅力的な取引機会を得ることができます。海外FXの注意点を理解した上で、安心して取引を行いましょう。