海外FX初心者
最終更新：HASTFOREX（ハストフォレックス）は、2022年4月11日にサービスを開始した海外FX業者で、当初よりアフィリエイターによる積極的な宣伝が行われ、約3か月で利用者数が1万人を超える急成長を遂げました。
しかし、2022年8月頃から出金に関するトラブルが相次ぎ、一部では運営者の逃亡が噂されるまでになっています。
本記事では、出金遅延の原因やHASTFOREXの真の目的について、一連の問題を網羅的に解説していきます。
この記事の目次
HASTFOREXの基本情報
HASTFOREX（ハストフォレックス）は、セントビンセント・グレナディーン諸島に登記された法人です。
HASTFOREX詳細情報
| 会社名 | HAST Financial Group Ltd. |
| 登録住所 | First Floor, First St. Vincent Bank Ltd Building, James Street, Kingstown, Saint Vincent and the Grenadines |
| 会社名 |
| HAST Financial Group Ltd. |
| 登録住所 |
| First Floor, First St. Vincent Bank Ltd Building, James Street, Kingstown, Saint Vincent and the Grenadines |
HASTFOREXは2022年4月にサービスを開始し、表面上は利用者獲得が順調に進んでいるかのように見えました。しかしながら、徐々に出金拒否の事例や、出金申請後に着金しない報告が増え始め、現時点でも多くの問題が解消されていません。
出金の遅れを常態化させて、運営者が計画的に資金を持ち逃げしたのではないかとの見方のほか、徐々に出金を渋るようになったことから、正当な運営を行っていたが資金繰りが悪化したのではないかという見方も存在しています。
セントビンセント・グレナディーンで法人登記
HASTFOREX（ハストフォレックス）は金融ライセンスを取得しておらず、セントビンセント・グレナディーン諸島のビジネスカンパニーとしてのみ登録されています。
正式な金融ライセンスではなく、ビジネスカンパニーとしての登録であるため、HASTFOREXがセントビンセント・グレナディーン金融庁（SVGFSA）の監督や指導を受けることはありません。
当然セントビンセント・グレナディーン金融庁から処罰が行われる事もないため、悪質な業者ではこのように見せかけのライセンスで情報弱者を騙すことも少なくはありません。
正式な金融ライセンスを保持していないHASTFOREXは、顧客情報や顧客資産の管理において不十分な体制であった可能性や、計画的なポンジ・スキームであった可能性が考えられます。
サービス開始から豪華なボーナスを連発
HASTFOREX（ハストフォレックス）は、20,000円の口座開設ボーナスや100％入金ボーナスを活用し、多くのアフィリエイターによって宣伝されてきました。HASTFOREXの公式Twitterアカウントによれば、サービス開始から3カ月後には口座開設者が1万人を超えたと報告されていますが、真偽のほどは不明です。
しかし、2022年10月に出金遅延が発生しているにもかかわらず、派手な入金ボーナスを実施して入金を促すなど、資金繰りを自転車操業のように行っていた疑惑が持たれています。
実際に、2022年末にかけて出金対応が徐々に悪化し、大規模な問題に発展しています。
現在数億円規模の出金遅延が発生中
HASTFOREX（ハストフォレックス）で出金を待っている人は、確認できるだけでも数百名に上り、被害総額は数億円と推定されています。
一部のブローカーでは規約違反を理由に利益のみを取り消すケースがありますが、今回の問題では規約違反とは無関係のユーザーが大半です。出金依頼に対しても無反応で、元金さえ出金しないHASTFOREXは非常に悪質なブローカーと言えます。
日本人が運営し、日本人が標的となった
被害を受けた方々の調査により、HASTFOREXの活動拠点は日本国内であることが判明しました。また、日本人によって立ち上げられたブローカーであることも明らかになっています。
さらに、HASTFOREX（ハストフォレックス）のトラフィックを調べると、99.33％が日本国内からのアクセスです。このことから、明確に日本人をターゲットとしていることがわかります。
知名度のある日本人のアフィリエイターと派手なボーナスを利用して、情報弱者や投資初心者の日本人から搾取しようと考えていた可能性があります。
HASTFOREXのような新興ブローカーで、金融ライセンスや運営体制などが明確でない場合、不透明な業者に対するリスクを回避するため、利用には事前の情報収集や慎重な判断が求められます。
ポンジスキームの可能性も
出金遅延を常態化させておくことで、逃亡の発覚や通報を遅らせる「ポンジ・スキーム」という有名な手口が存在します。
ポンジ・スキームは預かった顧客資産の出金を遅延させるだけでなく、新規ユーザーからの資金で古いユーザーに利益を支払う構造になっています。これにより、会社は実際の収益ではなく、新規ユーザーから集めた資金で利益を支払い運営を続けることができます。
ポンジ・スキームは最終的には持続不可能であり、いずれは新規ユーザーが足りなくなり崩壊します。逃亡や発覚、通報が遅れることも、この手口の特徴の一つです。
HASTFOREX（ハストフォレックス）は、出金遅延や頻繁な入金ボーナスなどから、ポンジ・スキームの手口に近い一面が見られます。
HASTFOREXで起きた出金トラブルの実例と詳細
HASTFOREX（ハストフォレックス）は何度もトラブル解決に向けた姿勢を見せているものの、2023年に入ってからは一件も出金が行われていません。最終的には出金待ちの顧客を残したまま逃亡を続けている状況です。
HASTFOREXによる出金遅延騒動の経緯は以下の通りです。
- 2022年4月11日 サービス開始
- 2022年8月 徐々に出金トラブルが発生
- 2022年8月18日 収納代行業者の夏季休暇が原因で出金遅延と発表
- 2022年10月 出金遅延の報告が急増
- 2022年10月中旬～下旬 出金遅延の中で入金ボーナス開催
- 2022年11月1日 新たな収納代行業者を契約を締結
- 2022年11月11日 出金の再開をアナウンス
- 2023年1月16日 顧客に追加書類の提出を要求
- 2023年3月27日 HASTFOREXが3ヵ月ぶりにツイート
HASTFOREXの実質的な活動期間は、2022年4月からSNSで最後に出金報告のあった12月29日までと短く、逃亡を前提に運営を行っていた可能性も考えられます。
ここからは、HASTFOREXの出金遅延騒動について、時系列を追って解説していきます。
2022年8月から徐々に出金トラブルが発生
サービス開始の2022年4月から2022年8月までは、口座開設ボーナスで得た利益の出金や、一度の出金上限額である500万円の高額出金も滞りなく行われていたようです。
しかし、8月頃からTwitterでは出金が遅いとの声や、出金拒否の報告が挙がりはじめました。
出金拒否が行われたユーザ－は特定のIBリンクを踏んでいないことや、SNS上での影響力を持たないアカウントであったことから、HASTFOREXがSNSで影響力のあるアカウントや、特定アフィリエイターの顧客を優先して出金していた可能性も考えられます。
出金遅延は収納代行業者の夏季休暇が原因と発表
8月に起きた出金遅延について、HASTFOREX（ハストフォレックス）は収納代行業者の夏季休暇が原因と発表しています。
【お詫び】
2022-08-18
昨日まで弊社委託の収納代行業者が夏季休暇の為、出金処理に遅延が生じておりました。
本日より業務再開との事で順次処理を行うとの報告が入っております。
お待ち頂いてるお客様には誠に申し訳ありませんが、今しばらくお待ちください。
また事前に報告がなかったことをお詫び申し上げます。
（HASTFOREX公式HPより引用）
HASTFOREXは出金時間を3日～5日と明記しているにもかかわらず、事前の通知もなく大幅な出金遅延を繰り返していました。このような行為は海外FXブローカーとして信頼を大きく損なうもので、断じてあってはならない行為です。
たとえ事前通知があったとしても、相応の理由がなければユーザーにとっては容認できるものではありません。HASTFOREXの計画および資金繰りの悪化は、この時点で既に始まっていた可能性があります。
2022年10月から出金遅延の報告が急増
SNS上では10月から出金遅延の報告が急増しています。
出金申請から10日前後遅れて着金するケースが多く報告されています。出金に遅延が発生しているのは、HASTFOREX（ハストフォレックス）によると収納代行業者が一日当たりの送金上限を設けたためと発表しています。
出金遅延者続出中に入金ボーナス開催
HASTFOREX（ハストフォレックス）は出金待ちのユーザーが大勢いるのにも関わらず、10月には150％～200％の豪華な入金ボーナスを実施していました。HASTFOREXがポンジ・スキームではないかと疑われる大きな要因の一つです。
10月に開催された入金ボーナス
| キャンペーン内容 | 開催期間 |
| 特定アフィリエイターによる 200％入金ボーナス |
10月3日～10月17日 |
| 特定アフィリエイターによる 200％入金ボーナス |
10月17日～10月31日 |
| HASTFOREX公式 150％入金ボーナス |
10月31日～11月4日 |
| 特定アフィリエイターによる 200％入金ボーナス |
| 10月3日～10月17日 |
| 特定アフィリエイターによる 200％入金ボーナス |
| 10月17日～10月31日 |
| HASTFOREX公式 150％入金ボーナス |
| 10月31日～11月4日 |
HASTFOREXのユーザーはこの時点でポンジ・スキームの可能性を疑うべきでした。ほとんどのユーザーが出金待ちの状態で、特別豪華な入金ボーナスをほぼ1ヵ月通して実施していたため、最後の資金集めだった可能性も否定できません。
新たな収納代行業者と契約を締結
HASTFOREX（ハストフォレックス）は、大幅な出金の遅れを解消するという名目で、11月1日に新たな収納代行業者と契約したとアナウンスしました。
【出金申請についてのご報告】
2022-11-01
先月より皆様からの出金申請に大幅な遅延が生じており大変ご迷惑をおかけしております。
収納代行業者からの出金処理は現在も日々行なっておりますが、弊社が設定しております出金処理期限内に処理させて頂く事ができておらずその改善に尽力致しておりました。
その後の進捗としまして、先月末には新規収納代行業者と契約締結に至りました。
そこでの委託処理を先月中から開始する予定ではありましたが若干業務内容に不備があり見直しを図っております。
結果、新規業者の業務開始まではあと数日を要する事になりそうです。
皆様には大変ご迷惑をお掛けしておりますが今週中にもう一度、直近の業務開始日を報告させて頂きます。 また現在契約中の収納代行業者も委託業務を継続いたしますので含めて早急に処理を致します。
このような内容になり皆様方に多大なるご迷惑をお掛けしてる事は重々承知の上、改善に努めておりますのでご理解の程宜しくお願い申し上げます。
（HASTFOREX公式HPより引用）
これまでの出金遅延は、収納代行業者が1日の出金件数に制限を設けたことが原因とされていました。新たな収納代行業者との契約により出金遅延が解消されるかと思われましたが、すぐに再び遅延が発生し、SNS上では不安の声が広がりました。
実際には収納代行業者の変更も行われていなかったようで、HASTFOREXがもっともらしい理由を述べて、発覚や通報を遅らせているかのようにも受け取れます。
2022年11月11日 出金の再開をアナウンス
HASTFOREX（ハストフォレックス）が2022年11月11日に出金再開を発表し、3日～4日で完了する予定としていたものの、実際には一部のユーザーにしか出金が行われなかったようです。
最終的にHASTFOREXは、出金が完了していないユーザーに対して25日までの出金を約束しましたが、それでもなお出金が完了しなかったことから、HASTFOREXの信頼性が著しく損なわれる結果となりました。
HASTFOREXを紹介していたアフィリエイターによると、少額出金者を優先して処理していたとの噂もありますが、これが事実であればより一層悪質であると言えるでしょう。
また、同時期にHASTFOREXの内部事情を知るアフィリエイターが自分のリンクから開設したユーザーを優先して出金してほしいと働きかけたようです。このように働きかけたことは、彼らもHASTFOREXの危機的状況を感じていたことを示唆しています。
不正取引を理由に追加書類の提出を強要
HASTFOREX（ハストフォレックス）は、2023年1月16日にユーザーへ追加書類を要求しています。
HASTFOREXが要求した追加書類は、一般的には入手が難しいものが含まれており、多くのユーザーがこれらの書類を容易に提出できるとは考えにくいでしょう。HASTFOREXが要求した追加書類は以下の通りです。
HASTFOREXが要求した追加書類
- HASTFOREX利用の経緯（紹介者名や紹介サイトURL）
- 現在の職業証明書類（社会保険証など）
- 現在お住いの住民票（一ヶ月以内のもの）
- 投資資金の源泉（過去二年間の源泉徴収票または確定申告書類または納税証明書など）
- HASTFOREXへの入金および出金の前後2ヵ月を含む全ての入金記録（銀行発行のPDFなど）
このような書類提出要求は、運営側が出金を遅らせる、または避ける意図があると疑われても仕方ありません。実際に同様の追加書類を要求したGEMFOREXでも大きな批判を受けています。
HASTFOREXが3ヵ月ぶりにツイート
HASTFOREX（ハストフォレックス）は、3月27日に出金処理が最終段階である旨のツイートを発信しました。この背景には、HASTFOREXによる出金遅延問題が刑事事件に発展する恐れがあったためだと思われます。
しかし、この時点で2023年1月以降の出金報告はなく、依然としてHASTFOREXは出金を滞らせている状況です。
計画的なポンジ・スキームであった可能性が高いという疑念は存在しますが、断定的な証拠がない限り推測の域を出ません。しかし、わずかな希望を持たせて発覚を遅らせるのはポンジ・スキームの常套句であり、出金拒否を隠蔽するために行っている可能性が考えられます。
仮に今後出金を再開したとしても、HASTFOREXに正常な運営再開は見込めないでしょう。どのような条件であっても、HASTFOREXの利用は敬遠することをおすすめします。
海外FX業者を選ぶ際の基準やポイント
安全に取引を行うためには、正確な知識と慎重な判断が必要です。この章では、安全な海外FX業者を選ぶためにチェックすべき項目を解説します。
ボーナスの豪華な新興ブローカーに要警戒
高額なボーナスはトレーダーにとって強い味方であるのは確かです。しかし、「うまい話には裏がある」と言われるように、多額の入金をさせて持ち逃げや出金拒否を行う悪質な業者は今でも存在します。
HASTFOREXのような、以下の項目に当てはまる業者には特に注意しましょう。
- 公式サイトの作りがチープな業者
- 不自然に高額な入金ボーナスを提供している業者
- 開示情報が疑わしい業者
公式サイトに力を入れずに派手なボーナスを提供している場合、単純に「集金できればいい」と考えている悪質なブローカーの可能性があります。
マッチングアプリなどで多発中のロマンス詐欺に利用されるブローカーも粗末な公式サイトであるケースが多いため、公式サイトに不足しているコンテンツや不自然な部分が見られたら注意が必要です。
また、開示情報が疑わしい場合も要注意です。HASTFOREXの場合は早い段階から日本居住の日本人が運営していると囁かれていましたが、HASTFOREXはセントビンセント・グレナディーンに登記されているため、オフィス所在地に疑念が生じます。海外FXではバーチャルオフィスで登記しているブローカーも少なくありませんが、実態の不明な新興ブローカーの場合は特に注意しなければなりません。
ただし、全ての新興ブローカーが危険なわけではありません。例えば、Focus Markets（フォーカス マーケット）は「Pepperstone」「Go Markets」「Anzo Capital」の元メンバーなど、経験豊富な人員が運営に携わっているため、比較的安全な新興ブローカーです。
海外FX業者では、大手に在籍していた人材が、ブローカー間の移籍や新規設立を行うケースも多く見られます。こういった豊富な知識や経験を持った人材が在席しているかどうかも重要な判断材料となります。
金融ライセンスの信頼性を確認
新興ブローカーが金融ライセンスを取得することは、かなりの困難を極めます。正式な金融ライセンスを取得することは、そのブローカーが適切な人員配置、資本金の確保など、信頼性と安全性を担保する基準を満たしていることを示しています。
HASTFOREXの場合、保持しているライセンスはビジネスカンパニーとして認可されているだけであり、海外FXブローカーを設立するにあたって、正式な金融ライセンス取得に必要な要件を満たしていない可能性が高いです。
ブローカーが表記しているライセンスの中には、「ニュージーランド証券投資委員会（NZFSP）」や「SVGインターナショナル・ビジネス・コーポレーション（SVG IBC）」のように、単体では信頼性に欠けるライセンスもあるので注意しましょう。
また、金融ライセンスだけでなく、ブローカーの資金力や技術力、開示情報や設立の経緯など、様々な情報を多角的に見ることも正確な判断を行うには欠かせません。
SNS上の噂を過信しない
SNS上ではたくさんの情報で溢れています。しかし、その中には悪質なアフィリエイターによる情報も含まれているため、情報の精査には注意が必要です。
SNS上でアフィリエイト活動を行っている方は、個人や小規模な集団が多く、自己の利益を優先するあまり、悪質な業者を紹介することがあります。
そのため、怪しそうな業者を選ぶ際には、「あの人が紹介していたから」という単純な理由だけではなく、より深く調査して判断することが重要です。
悪質業者を避けて安全なトレードライフを
HASTFOREX（ハストフォレックス）は、現時点で「ユーザーとの約束を守らない」「ブローカーと対話ができない」「数か月出金が行われない」など様々な理由から海外FX業者としての信用性は破綻しています。
そして、出金遅延の常態化や、入金ボーナス連発後に出金が大幅に減少しているなどの理由から、HASTFOREXは計画的なポンジ・スキームである可能性が高く、危険な業者であることは間違いありません。
安全な海外FX業者選びの際には、公式ウェブサイトや第三者機関による評価・口コミ、金融ライセンスの有無や運営実績など、複数の要素を総合的に検討することが望ましいです。
FXplusでは、海外FXに長年携わるスタッフが、ブローカーの信頼性や背景を慎重に精査して掲載しています。是非、安全な海外FX業者選びにお役立て下さい。
