FXの確定申告書はどうやって作成する?書き方をわかりやすく解説!
FXの確定申告
FX投資によって利益を得たら、原則として所得税の確定申告をする必要があります。そのため、FX投資をする前に確定申告の方法を理解しておくことが大切になります。そこで、確定申告に必要となる書類や所得の計算方法などについてご紹介します。
確定申告書の作成は面倒だと思う人もいるでしょうが、申告書を作成することで税金の仕組みが理解できますし、どの程度必要経費がかかっているか、税引き後の利回りはどの程度なのかを知ることも可能です。FX投資を行う場合は確定申告書の作成に不安がないように事前に理解しておくようにしましょう。
確定申告書作成には準備が必要
確定申告に必要となる書類とは?
確定申告に必要となる書類には2種類あります。1つは確定申告書そのもの、もう1つは添付書類です。
1つ目の確定申告書ですが、申告書には多くの様式があり、FX投資の申告を行う場合はそのうちの1部を使用するのが一般的です。そのため、どの書類が最低限必要となるかを理解しておくことが重要です。
最低限必要となるのは第一表です。各種所得の金額と所得控除、税額の計算をする表です。国内FXの場合は第三表も必要となります。これは国内FXの所得である分離課税の雑所得を記載する表です。
2つ目の添付書類はFX取引の履歴や利益をまとめた表になります。自ら集計表を作成しても構いませんが、FX会社のホームページからダウンロードするなどして入手するほうが効率的でしょう。
また、マイナンバー制度の導入により、マイナンバーを証明する書類や本人確認書類を添付することになりましたので準備しておきましょう。配偶者控除などの適用を受ける場合は家族のマイナンバーが必要になるケースもあります。
FX投資で所得を得た場合
FX投資を行っている人は、どんな場合に確定申告の義務があるかを把握しておくことも重要です。
原則としてFX投資によって利益を得た場合は確定申告が必要になります。しかし、会社員などで給与所得が2,000万円以下で年末調整を受ける場合はFX投資などその他の所得が20万円以下であれば確定申告不要とされています。
また、給与所得者でない場合もFX投資の所得を含めたすべての所得が所得控除以下である場合は確定申告をする必要はありません。
FX投資で所得が生じなかった場合
FX投資の結果、年間通算で損失となった場合は確定申告の義務はありませんが、あえて確定申告をすることで節税できる場合があります。国内FX投資によって生じた所得や損失は、分離課税の雑所得に区分されます。
損失になった場合、その年の税負担は生じませんが、あえて損失であるという申告を行うことによってその損失を翌年以降3年間繰り越して翌年以降のFX投資で生じる所得から控除できる損失の繰越控除が認められています。そのため、国内FX投資の損失は損失申告を行うことをおすすめします。
確定申告以外でやっておくべきこと
確定申告が必要な場合は、確定申告書作成作業以外にもやっておくべきことがあります。まず税務署に申告書を持参せずに郵送する場合は、郵送用の封筒と控えを返送してもらうための返信用封筒、そしてそれぞれに貼付する切手を準備しておく必要があります。
また、e-taxと呼ばれている電子申告を利用する場合は、有効期限内の住民基本カードかマイナンバーカード、さらにカードリーダーを用意しておく必要がありますので、忘れずに準備しておきましょう。
確定申告書の書き方を理解しよう!
取引内容をまとめよう
確定申告書を作成するためには、具体的にどのように記載すればよいかも知っておく必要があるでしょう。いざ申告書作成時期になって戸惑うことがないように事前に理解しておくことをおすすめします。
まず、申告書への記入に先立って1年間のFX取引内容をまとめておきます。FX会社が提供している取引履歴をそのまま利用する方法もありますが、複数のFX会社で取引している場合などは合算した表を作成する必要があるでしょう。
取引によって生じた為替差益と手数料、スワップポイントをまとめ、年間合計額を把握します。これが、FX投資家が行う確定申告書作成の最初のステップとなります。
為替差益とスワップポイントの利益の記載方法
次に為替差益とスワップポイントを確定申告書に記載します。国内FXの場合は、分離課税の雑所得用の記入用紙である確定申告書の第三表に記載することになります。
海外FXの場合は、第一表の雑所得欄に記載します。国税庁の確定申告書作成コーナーを利用する場合は、総合課税となる雑所得の欄をクリックすると入力フォームが現れますのでそこに入力します。取引している海外FX会社が複数ある場合は、会社ごとに記載することになっています。
必要経費の計上が認められている
FX投資による所得は所得税の計算上、雑所得に区分されます。雑所得の計算をする場合は、国内FX・海外FXにかかわらず、為替差益やスワップポイントから必要経費を控除して所得を求めることが認められています。そのため、必要経費も集計して記載します。
必要経費として認められる主なものは、FX取引において生じた取引手数料や送金手数料、FX投資に関するセミナーの参加料や交通費、そして書籍代などがあげられます。
必要経費の計上は投資家自ら計算する必要がありますので、漏れなく集計するようにしましょう。計上漏れが生じるとその分税負担が増える可能性がありますので注意が必要です。
課税所得の計算方法を確認しよう
これらの作業が終了すると雑所得が確定できますが、所得税の計算はこれで終わりではありません。FXに関する雑所得以外に給与所得や事業所得などがあればそれも合わせて記載します。ここまでの作業でようやく課税標準が確定します。
その後、基礎控除や配偶者控除、社会保険料控除、生命保険料控除などの所得控除を記載して課税所得を計算します。課税所得が計算できたら税法で定められた税率を使って税額を計算します。
さらに源泉徴収などの前払い税金があれば差し引いて納税額を求めます。このあとご紹介する税額控除がなければこれで確定申告における税額計算は終了です。
税額控除が使える場合と主な税額控除
所得税の計算においては、税額控除と呼ばれる制度が用意されています。主な税額控除としては、住宅借入金等特別控除、配当控除そして外国税額控除があげられます。
住宅借入金等特別控除とは、10年以上の返済期間がある住宅ローンを借りている場合に、一定限度額までの年末のローン残高の1%相当額を税額控除できるものです。
配当控除とは、株式の配当金を受け取った場合に、一定の配当金について原則として10%の税額控除が認められるものです。
外国税額控除は外国で支払った一定の税額に適用できる税額控除です。税額控除の適用がある場合は、納税額を計算する段階で税額控除額も記載します。
確定申告書の作成方法を知っていれば安心してFX投資ができる
確定申告書の作成方法を理解しておけば、いざ確定申告の時期になって慌てることもなくなり、安心してFX投資に集中できるメリットがあります。申告書は、提出時期ぎりぎりになってから作業を始めると手間取ることもあります。
FX取引を行った都度、手数料や必要経費を集計して着実に準備しておくことがポイントとなります。そうすることによって、投資利回りを把握する場合も税引き後の利益で把握することができるようになりますので、投資利益の管理精度も向上します。
確定申告書の作成方法をしっかり理解してFX投資を長期間継続して行える体制を整えていきましょう。